DaVinci Resolveのバージョンアップ時に知っておくべきこと
DaVinci Resolveのバージョンアップはプロジェクトバックアップと互換性確認を行い、進行中案件の完了後にメジャー更新するのが安全。
はじめに
「DaVinci Resolveの新バージョンがリリースされました」。こんな通知を見たとき、すぐにアップデートしていますか? それとも様子を見ていますか?
新しい機能が使えるようになるのは魅力的ですが、アップデートに伴うリスクも無視できません。プロジェクトの互換性、プラグインの動作、作業環境の変化……。「アップデートしたら動かなくなった」というトラブルは避けたいですよね。
DaVinci Resolve認定トレーナーとして多くの受講者にバージョンアップの相談を受けてきた経験と、プラグイン開発者として複数バージョンへの対応を続けてきた知見をもとに、安全なバージョンアップの考え方を解説していきます。
メジャーアップデートとマイナーアップデートの違い
バージョン番号の読み方
DaVinci Resolveのバージョン番号は、大きくメジャーバージョンとマイナーバージョンに分かれます。
- メジャーアップデート: バージョンの「大きい数字」が変わる更新(例: 18→19)
- マイナーアップデート: 小数点以下が変わる更新(例: 19.0→19.1)
- パッチアップデート: さらに細かい修正(例: 19.1→19.1.1)
この区分を意識するだけで、アップデートへの対応方針が変わります。
メジャーアップデートの特徴
メジャーアップデートでは、以下のような変更が含まれることが多いです。
- 新しい機能やページの追加
- UIデザインの変更
- データベース構造の更新
- 対応OS要件の変更
- GPU要件の変更
メジャーアップデートは新機能が目玉ですが、プロジェクトの互換性に影響を与える可能性がある点に注意が必要です。新バージョンで保存したプロジェクトは、古いバージョンでは開けなくなる場合があるからです。
マイナー・パッチアップデートの特徴
マイナーアップデートやパッチアップデートは、主にバグ修正・安定性向上・パフォーマンス改善が中心です。新機能が追加されることもありますが、メジャーアップデートほどの大きな変更はありません。
一般的に、マイナー・パッチアップデートはメジャーアップデートよりも安全に適用できます。ただし、ゼロリスクではないため、進行中のプロジェクトがある場合は慎重に判断しましょう。
バージョンアップ前に必ずやるべき3つのこと
1. プロジェクトのバックアップ
バージョンアップ前にもっとも優先すべきはプロジェクトのバックアップです。DaVinci Resolveにはプロジェクトのエクスポート機能があり、.drpファイルとして書き出せます。
バックアップの対象は2つあります。
- プロジェクトファイル: DaVinci Resolveのプロジェクトマネージャーからエクスポート
- データベース全体: データベースマネージャーからバックアップ
特にメジャーアップデート前は、データベース全体のバックアップを取っておくことを強くおすすめします。プラグインを5,000本以上販売してきた中で、「バージョンアップ後にプロジェクトが開けない」という問い合わせを何度も受けてきましたが、バックアップがあれば旧バージョンに戻して復元できます。
2. プラグイン・サードパーティツールの互換性確認
DaVinci Resolveのバージョンアップに伴い、サードパーティ製のプラグインやOFXツールが正常に動作しなくなることがあります。
確認すべきポイントは以下の通りです。
- 使用中のプラグインが新バージョンに対応しているか
- プラグインのアップデートが必要な場合、アップデートが提供されているか
- Fusionマクロやスクリプトが新バージョンで動作するか
プラグイン開発者として言えることは、メジャーアップデート直後は対応が追いつかないケースがあるということです。おすすめのDaVinci Resolveプラグインで紹介しているような定番プラグインは比較的早く対応しますが、それでも数日〜数週間かかることがあります。
3. システム要件の確認
メジャーアップデートでは、対応するOSのバージョンやGPUの要件が変わることがあります。アップデート前にBlackmagic Designの公式サイトでシステム要件を確認しておきましょう。
DaVinci Resolveのパフォーマンスが遅い原因でも触れていますが、GPUの性能は編集体験に直結します。新バージョンでGPU要件が上がった場合、アップデートすることで逆にパフォーマンスが低下する可能性もあります。
安全なバージョンアップの手順
段階的な移行がベストプラクティス
バージョンアップの推奨手順をまとめます。
- 進行中プロジェクトの完了を待つ: 可能であれば、進行中の案件を現行バージョンで完了させる
- バックアップ: プロジェクトファイルとデータベースの両方をバックアップ
- 互換性調査: プラグイン・OFXツールの対応状況を確認
- リリースノートの確認: 新バージョンの変更点・既知の問題を公式リリースノートで確認
- インストール: 新バージョンをインストール(旧バージョンと共存できる場合は並行インストール推奨)
- テスト: 軽いプロジェクトで動作確認
- 本格移行: 問題がなければ本格的に新バージョンで作業開始
旧バージョンとの共存
DaVinci Resolveはバージョンによっては旧バージョンと共存インストールが可能です。共存できる場合は、新バージョンでテストしながら旧バージョンも残しておくのが最も安全です。
認定トレーナーとしての経験上、メジャーアップデート直後は安定性の面で不安が残ることがあります。最初のマイナーアップデート(例: 19.0.1や19.0.2)が出るまで待つのも堅実な選択です。
バージョンアップ後のトラブル対処
よくあるトラブルと対処の考え方
バージョンアップ後に発生しやすいトラブルには、一定のパターンがあります。
| トラブル | 考えられる原因 | 対処の方向性 |
|---|---|---|
| プロジェクトが開けない | データベース互換性 | バックアップから旧バージョンで復元 |
| プラグインが動かない | OFX API変更 | プラグインのアップデートを確認 |
| パフォーマンス低下 | GPU要件の変更 | GPU設定の見直し、ドライバー更新 |
| UIが変わった | デザイン変更 | リリースノートで新UIの操作方法を確認 |
| Fusionコンポが崩れる | ノード仕様の変更 | 該当コンポを新バージョンで再調整 |
焦って設定をいじるよりも、まずはBlackmagic Designの公式フォーラムで同じ症状の報告がないか確認するのが効率的です。メジャーアップデート直後は多くのユーザーが同じ問題に直面していることが多く、解決策が共有されている場合があります。
「待つ」ことも立派な戦略
「新バージョンが出たらすぐにアップデートすべき」というプレッシャーを感じる必要はありません。現行バージョンで問題なく作業できているなら、安定版のリリースを待つのは合理的な判断です。
プラグイン開発の立場からも、メジャーアップデート直後よりも最初のマイナーアップデート以降の方が安定した環境で作業できると実感しています。マジックモーション Vol.1をはじめとする自社プラグインも、新バージョンのDaVinci Resolveがリリースされるたびに互換性テストを行っていますが、安定版でのテストが最も信頼性が高いです。
まとめ — 要点を行動に
DaVinci Resolveのバージョンアップは、焦らず、備えて、段階的に進めるのが鉄則です。
- メジャーアップデートとマイナーアップデートの違いを理解し、対応の優先度を判断する
- バージョンアップ前に必ずプロジェクトとデータベースのバックアップを取る
- プラグインやサードパーティツールの互換性を事前に確認する
- 可能であれば旧バージョンと共存インストールし、テスト後に移行する
- メジャーアップデート直後は様子を見て、安定版を待つのも合理的な選択
新機能への期待と安定性のバランスをとりながら、自分のワークフローに合ったタイミングでアップデートしていきましょう。
よくある質問
DaVinci Resolveのバージョンアップは無料ですか?
無料版(DaVinci Resolve)のバージョンアップは無料です。Studio版(有料版)もライセンスは買い切りのため、購入後のメジャーバージョンアップも追加費用なしで利用できます。これはサブスクリプション型のソフトと大きく異なる点です。
古いバージョンに戻すことはできますか?
はい、可能です。Blackmagic Designのサポートページから過去のバージョンをダウンロードしてインストールできます。ただし、新しいバージョンで保存したプロジェクトは古いバージョンでは開けない場合があるため、バージョンアップ前のバックアップが重要です。
メジャーアップデートとマイナーアップデートの違いは?
メジャーアップデート(例: 18→19)は新機能の追加やUIの変更を含む大きな更新で、プロジェクトの互換性に影響する可能性があります。マイナーアップデート(例: 19.0→19.1)はバグ修正や安定性向上が中心で、比較的安全に適用できます。





