今すぐできる軽量化を「効果の大きい順」に並べた
DaVinci Resolveが重くなったとき、原因を丁寧に調べるより先に「効果の高い対処から上から順に試す」のが最速です。軽量化の方法はいくつもありますが、全部やる必要はなく、多くの場合は最初の1〜2ステップで改善します。
このチェックリストは「即効性の高い順」に並べています。項目ごとに効果の大きさ、副作用、目安の所要時間を添えているので、自分の状況に合わせて試してください。
DaVinci Resolveが重くなる原因の考え方についてはDaVinci Resolveが重い・遅い原因と対処法の考え方で詳しく整理しています。本記事は「原因は大体わかった、次に何をすれば改善するのかを知りたい」という方向けのチェックリストです。
効果の大きさ:大 / 副作用:軽微(ストレージ消費) / 所要時間:素材量による(数分〜数十分)
最初に試すべきはここです。最適化メディアとは、DaVinci Resolve内で元素材から軽量な編集用ファイルを生成する機能です。4K・H.265・LOG素材などデコードが重いファイルを、再生しやすい形式(Apple ProRes / DNxHRなど)に変換してキャッシュします。
やり方の概要
メディアプールで素材を選択し、右クリックから「最適化メディアを生成」を実行します。完了後、タイムライン左上の表示が「最適化メディアを使用」に切り替わっていることを確認してください。
プロジェクト設定の「マスター設定」内にある「最適化メディアの解像度」を元素材より下げておくと、さらに生成が速くなります。素材が多い場合は1/2や1/4を選ぶのも有効です。
注意点
最適化メディアはストレージを追加で使います。4K素材を大量に持つプロジェクトでは数十GBになることもあります。キャッシュファイルの保存場所はプロジェクト設定で変更できるので、容量の大きいドライブを指定しておくと安心です。
書き出し時は元素材が自動的に使われるため、最適化メディアで仕上がりの画質が落ちることはありません。
Step 2|プロキシを使う
効果の大きさ:大 / 副作用:あり(プロキシファイルの管理が必要) / 所要時間:生成に数分〜数十分
最適化メディアを試しても改善が不十分な場合、またはそもそも素材が多すぎて最適化の待機時間が長すぎる場合はプロキシを検討します。
プロキシ編集の仕組みと考え方でも詳しく解説していますが、プロキシとは元素材の軽量コピーを別途作成し、編集中はそちらを参照することでPCへの負荷を減らす仕組みです。最適化メディアがDaVinci Resolve内部で完結するのに対し、プロキシは外部ファイルとして管理する点が異なります。
タイムラインプロキシ解像度の設定
プロキシを使う際、タイムライン設定の「タイムラインプロキシ解像度」を1/2または1/4に設定するだけで、プロキシ生成なしにリアルタイム再生が改善することもあります。まずこちらを試してみるのが手軽です。
プロジェクト設定 → マスター設定 → タイムラインプロキシ解像度で変更できます。
注意点
プロキシを外部で管理する場合、素材の移動やプロジェクトの引き継ぎ時にリンクが切れるリスクがあります。プロキシを多用するなら、素材のフォルダ管理を最初に整理しておくと後々の手間が減ります。
Step 3|スマートレンダーキャッシュをUserにする
効果の大きさ:中〜大 / 副作用:軽微(ストレージ消費) / 所要時間:設定変更は即時
レンダーキャッシュとは、タイムライン上の合成結果をあらかじめ計算して保存しておく仕組みです。デフォルトの「なし」または「スマート」設定では、編集中に自動でキャッシュされる範囲が限定的です。「User」に変更すると、手動でキャッシュを実行した範囲の再生が大幅に軽くなります。
設定の場所
再生メニュー → レンダーキャッシュ → User を選択します。キャッシュしたい範囲を選んで「レンダーキャッシュをすべてレンダリング」を実行すると、赤いラインが青に変わりキャッシュ完了になります。
「スマート」設定は自動でキャッシュを生成しますが、どこをキャッシュするかDaVinci Resolveが判断するため、重いと感じる部分が必ずしもキャッシュされないことがあります。エフェクトを多用したタイムラインでは「User」の方が意図通りにコントロールできます。
カラーページでのキャッシュ
カラーページでもレンダーキャッシュは機能します。複数のノードでカラーグレーディングを施したクリップが多い場合、カラーページのキャッシュ設定を確認してください。
Step 4|再生品質(再生解像度)を下げる
効果の大きさ:中 / 副作用:プレビューの見た目が粗くなる / 所要時間:即時
タイムライン右上のビューア、または「再生」メニューの「タイムラインプロキシ解像度」とは別に、再生品質の設定があります。「最高画質」から「1/2」や「1/4」に下げるだけで再生負荷が大幅に減ります。
カラーページでもビューアの品質設定で同様の操作ができます。カラーグレーディング中はプレビューが粗くなりますが、仕上がりには影響しません。
この設定は一時的な作業用設定として使い、書き出し前に元の品質に戻すことを忘れないようにしてください。
Step 5|不要なエフェクト・ノードを一時的にオフにする
効果の大きさ:中 / 副作用:なし(オフにするだけで元に戻せる) / 所要時間:即時
タイムライン上のクリップに適用しているエフェクトや、カラーページのノードは、すべてリアルタイムで計算されます。特にノイズリダクション・シャープネス・OpenFXエフェクトは処理負荷が高く、これらをオフにするだけで劇的に改善することがあります。
確認すべきエフェクト
| エフェクト種別 |
処理負荷の目安 |
オフ方法 |
| ノイズリダクション(テンポラル・スペーシャル) |
高 |
カラーページのMotion Effectsパネルで無効化 |
| OpenFXエフェクト(サードパーティ製含む) |
中〜高 |
エフェクトパネルで個別に無効化 |
| Fusion合成 |
高 |
クリップをFusionタイムラインから外す |
| カラーノード(複数の連結) |
中 |
ノードを右クリックして「バイパス」 |
| スタビライゼーション |
中 |
エディットページのインスペクタで無効化 |
受講者のプロジェクトを確認する中でよく目にするのが、ノイズリダクションをかけ忘れたまま全クリップに適用しているケースです。ノイズリダクションはトランスコードや最適化メディアの段階で処理する方が、タイムライン上で毎回計算させるよりずっと効率的です。
Step 6|未使用クリップとキャッシュファイルを削除する
効果の大きさ:中(ストレージ逼迫時に特に有効) / 副作用:削除は取り消せない(注意) / 所要時間:数分
ストレージの空きが少ない状態は、スワップ領域の不足やキャッシュ書き込みの遅延につながります。定期的なクリーンアップが動作の安定に効きます。
削除できるもの
- 未使用の最適化メディア: ファイルメニュー → プロジェクトマネージャー → 使用していない最適化メディアを削除
- 古いレンダーキャッシュ: 再生メニュー → 「すべてのレンダーキャッシュを削除」(または「未使用のレンダーキャッシュを削除」)
- メディアプール内の未使用クリップ: 右クリックから「使用されていないクリップを選択」して整理
キャッシュの削除は元素材には影響しません。再生やエクスポートへの影響もなく、削除後はキャッシュが再生成されるまで再生が一時的に重くなりますが、それ以外のリスクはありません。
Step 7|GPU・メモリの割り当てを確認する
効果の大きさ:中(環境による) / 副作用:なし / 所要時間:数分
DaVinci Resolveの環境設定(Preferences)でGPU処理のモードが正しく設定されているか確認します。
確認箇所
- GPU処理モード: CUDAまたはMetal(Mac)が選択されているか。「OpenCL」になっている場合は変更を検討
- 使用するGPU: 外付けGPUがあるのに内蔵GPUで処理されていないか
- システムメモリ制限: DaVinci Resolveが使えるメモリ量の上限設定。低く設定されていると本来の性能が出ない
環境設定はDaVinci Resolve → 環境設定(Mac)またはファイルメニュー → 環境設定(Windows)から開けます。GPU設定の変更後はアプリの再起動が必要です。
Step 8|バックグラウンドアプリを終了する
効果の大きさ:小〜中(環境による) / 副作用:なし / 所要時間:即時
ブラウザ・Slack・Zoom・配信ソフトなど、GPUやメモリを使うアプリが同時に起動していると、DaVinci Resolveに使えるリソースが減ります。特にGPUを共有するアプリ(ゲーム・3Dアプリ・仮想マシンなど)は終了するだけで再生の改善を感じることがあります。
メモリ使用量は活動モニタ(Mac)またはタスクマネージャー(Windows)で確認できます。RAM使用率が80%を超えているようであれば、他のアプリを閉じることで編集が安定します。
チェックリスト一覧(まとめて確認用)
| # |
対処 |
効果 |
副作用 |
所要時間 |
| 1 |
最適化メディアを生成 |
大 |
ストレージ消費 |
数分〜数十分 |
| 2 |
プロキシ使用 / タイムラインプロキシ解像度を1/2・1/4に |
大 |
ファイル管理が必要 |
生成に数分〜 |
| 3 |
レンダーキャッシュをUserに設定・実行 |
中〜大 |
ストレージ消費 |
設定は即時 |
| 4 |
再生品質を1/2・1/4に下げる |
中 |
プレビューが粗くなる |
即時 |
| 5 |
重いエフェクト・ノードを一時オフ |
中 |
なし |
即時 |
| 6 |
未使用クリップ・キャッシュを削除 |
中 |
削除は取り消し不可 |
数分 |
| 7 |
GPU・メモリ割り当てを確認 |
中 |
なし(再起動が必要) |
数分 |
| 8 |
バックグラウンドアプリを終了 |
小〜中 |
なし |
即時 |
それでも改善しない場合の考え方
上記をすべて試しても快適にならない場合、根本的な原因はPCのハードウェアスペックにある可能性が高いです。
特に影響が大きいのはRAMとストレージです。RAMが16GB未満であれば32GBへの増設、ストレージがHDDであればSSDへの交換から試すのがコストパフォーマンスが良い選択です。GPUも重要ですが、ストレージの速度不足が意外なほど動作に影響することを見落としがちです。
DaVinci Resolveのおすすめスペックでは、編集環境の組み方を解説しています。今のPCをどの部分から強化すべきか迷っている方は参考にしてください。
動作が安定した後は快適な編集を
軽量化の設定を整えると、編集作業そのものに集中できるようになります。最初の1〜2ステップで改善する場合が多いので、まず最適化メディアかプロキシから試してみてください。
DaVinci Resolveの基本的な使い方や他の機能については、DaVinci Resolve 使い方完全ガイド2026にまとめています。
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